【PRE−SUASION】プリスエージョン 影響力と説得のための革命的瞬間 要約と感想 ロバート・チャルディーニ著
心理学では超有名な本「影響力の武器」の著者ロバート・チャルディーニさんが33年ぶりに書いた本「PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間」が売ってあり速攻買いましたwまぁ発売日は2017年の12月ですが、一度読んでおいたほうがいいおすすめ本です!
「PRE-SUASION(プリスエージョン)」は注釈含めて500ページ近くある分厚い本です。今回はその要約と感想になります!また、今の時代は手っ取り早く知りたいという人が多いと思われるので、思い切ってまとめから入ります(笑)
まとめ
説得の下準備(プリスエージョン)としては注意を引くことが重要です。相手の注意を説得したいものに向けて他のものを見えなくすることで、メッセージを受け取りやすくなります。また、元から注目を集めるもの(性的なものなど)を使うのも有効です。
相手を説得するために、「影響力の武器」では、6つの要素を取り上げました。「社会的影響力の主要動機モデル」では、その使い方も紹介してあります。今回は7つ目の武器として「まとまり」が登場し、一緒に存在すること、活動することが強力な説得の武器になり得ることが分かりました。
何はともあれ相手を説得したいなら、まずは相手と親密な関係を築くことが近道だと思いました。自己開示の質問で仲良くなり、その上で相手の注意をうまくそらすことができれば説得の成功率は高くなると思います。
プリスエージョンとは?
プリスエージョンとは、下準備のことで、受け手がメッセージに会う前からそれを受け入れる気にさせる行為のことです。最初に提示するものが、次に提示するものへの相手の受け止め方を変えます。
Persuasion(説得)をもじって、PRE(前)+SUASION(勧告、説得)でPRE-SUASIONということですね。なるほど。チャルディーニさんによる造語のようです。
特権的瞬間
下準備としての行動が相手の心に生み出す、その時の受け入れ気分というのが存在します。例えば、相手がイライラしてるときは、要求を受け入れてくれ難いでしょう。しかし、いいことがあった人に要求した場合は、受け入れてくれる可能性も高まります。
ものにはそれを受け入れやすくなる頼み時があるということですね。ナンパでも、女の子のテンションが高いときは、受け入れてくれるかもしれないでしょう。
提示しようとしている内容を相手が受け入れやすくなる最初のステップはこの本では「オープナー」と呼んでいます。その働きは説得のプロセスをスタートさせることです。
特権的瞬間は提案の力が最大になり、同意得やすいです。特権的瞬間で重要なのが、説得の際に注意を引いていたかどうかです。
ショピングモールなどで、調査員が「少しお時間よろしいでしょうか」と言って、協力してくれた人は29%でした。次に下準備的なオープナーで「あなたは人助けができるタイプですか?」と言うと相手は少し考え、「ええ」と答えました。特権的瞬間で、自分は人助けができるんだと確認し、認めたのです。結果は77.3%の協力を得られました。
この結果からある状況で人の選択を左右する要因は、決定の段階でその人の注意を引いていたものであることが分かりました。
また、この実験では「あなたは冒険心のあるタイプですか?」と尋ねても、相手に商品を試す意欲を湧かせられることができると分かりました。「新しいことを試すのが好きですか?」と付け加えるだけでも、客の連絡先を教えてもらえる確率が33%から、75.7%に上がりました。
説得力が増す特権的瞬間の続く間、ものの見方を狭められた人は、その見方と合致する要請に対してとても無防備になるからです。-本書 第2章 p39より
「あなたは人助けができるタイプですか?」と尋ねられたとき、人助けができない理由を探すのではなく、「自分は人助けができるよな?」と肯定してしまいます。ある可能性が正しいか判断するときに、反証ではなく確証を探してしまうというものを肯定的検証方略といいます。
注意を方向づけてしまうと、他のものを見えなくしてしまうのです。何かに注意をするときは、他の注意を失ってしまいます。
その人の注意を何かに向けさせるのは、その何かの重要性を強めることになります。注意してしまうと、それを重要だと思ってしまうのですね。
家具を扱うオンラインショップのサイトの背景をふわふわした雲にしたとき、サイトの訪問者は快適さを高く求めていました。背景を硬貨にしたところ、価格を高く重要視するようになったのです。
背景を見るのに、ほぼ意識はしていません。無意識のうちに背景から、商品に対して何を求めるか決めさせられていたのでしょう。意識していないために背景をつまらないともなんとも感じなかったのです。
注意を向けることが説得において有効ですが、万能ではないようです。注意から利益を得るためには他のものを意識させないことです。
注目されるものは、重要なものだと見なされもすると結論付けられます。
ある列待ちの実験では、列を譲ってほしいと言って謝礼金の額を上げていくと承諾率が上がりました。しかし、ほとんど人が謝礼を受け取らなかったのです。謝礼の額を増やすと列は譲ってもらえるが、受け取る割合は高まりませんでした。謝礼が同意を促したのは、列を譲ってほしいという切実さに注意が向かったためでした。一方、金額の増加が示していたのは、依頼する側の困り具合がそれだけ切実であったということでした。
金額が高くなるにつれて、相手は相当困っているんだなと思わせたのでしょうね。
目立つものは重要、注意するものは重要と考えられるため、その注意が受け手に下準備として働き、受けてはメッセージを処理する前に、それを受け入れやすくなります。
元から注目を集めるものがあります。
- 性的なもの(誘引要素)
- 身の危険を感じさせるもの(誘引要素)
- 自分と関係しているもの(磁力要素)
- 未完了のもの(磁力要素)
- ミステリアスなもの
例えば、性的なポスターやタバコでやられた肺のポスターなどですね。それらを見るだけで注目してしまい、メッセージを受け取りやすくなります。
自分に関係しているもの、名前が同じだとか、誕生日の数字があるとつい見てしまいます。未完了のものとして、ツァイガルニク効果があります。レストランの店員が客のメニューを覚えていますが、料理を運び終えた途端、そのことについて忘れてしまうというものです。未完了のものは覚えやすいということです。
ミステリアスなものとして、ある授業の講義で初めに問題を提示しておくと、学生が授業を聞きやすくなるという実例があります。最初に謎を提示することが注目を集めるのですね。
注意を向けるためのオープナーと、それに関連したものの結びつきの強さで下準備の効果が高まります。その結びつきは構築することができます。パブロフの犬では、ベルと餌を結びつけて、自発的に食べるという行為を起こさせました。
影響力の6つの武器
同意を得るために、「影響力の武器」では、6つの概念があるのと述べられました。返報性、好意、社会的証明、権威、希少性、一貫性です。
影響力の武器について↓
この6つの武器を応用した「社会的影響力の主要動機モデル」というものがあります。
6つの武器をどんなタイミング、順番で使えば効果が高いのか、示しています。
第一段階は、良い関係を育むために返報性と好意を使います。メッセージの送り手を好ましく思うと、送り手自身も好ましく思うようになるようです。有意義で意外性のある、得別に用意されたものを与えて、共通点を探し、相手を褒めます。これで親密関係を築きます。友達からお菓子を1つ貰うより、2つ貰うほうが意外性があります。また、ダイエットをしている人には、糖質オフのお菓子のほうが特別に用意されたものであると感じます。
つまり、糖尿病で甘いものが好きな人に、砂糖を使っていないお菓子を1つではなく2つ以上与えることで返報性の力を最大限に使うことができます。特に何かを必要だと感じている人には、この有意義で、意外性のある特別な贈り物は強くお返しへの義務を感じさせてしまうのです。友達へのプレゼントは、有意義性、意外性、特別性の3つを取り入れて考えてみるといいでしょう。
第二段階は、相手にその決定を下すのが、賢明な選択と思わせなければなりません。ここでは、社会的証明と権威を使います。多くの人がそうしていたり、専門家から好評であれば賢明な選択だと思うでしょう。
第三段階は、行動するための動機をつけます。ここでは、一貫性と希少性を使います。自分が言った発言を思い出させたり、失ってしまったらもう戻らないものについて考えさせるのがいいでしょう。
これが社会的的影響力の主要動機モデルです。自分なりにアレンジして、場面によって応用すると説得の効果が高まります。
7つ目の武器「まとまり」
著者のチャルディーニさんは、影響力を与える要素として、7つ目の武器を見つけていました。本書「プリスエージョン」では、その、7つ目の武器である「まとまり」について紹介されています。
まとまりとは、その言葉通り一緒に存在すること、一緒に活動をすることです。一緒に活動をすれば、当然好意も生まれてきます。お互いに似た行動をしているため、類似性が好意に転換します。
興味深い研究として、同じリズムを刻んだ人たちは49%が自分の時間を削り、パートナーを助けたことです。音楽には互いに協調できるという利点があります。ライブやコンサートでも、一緒に盛り上がった人たちと仲良くなれるのにも納得がいきます。
クラブでのナンパは特に同じ空間、同じ音楽を聞くので、成功率は高いでしょうが、やはりそこにいる人たちの中でもイケメンが勝つみたいです。
恋愛であれば、好きな子とドライブ中に音楽を聞くのが、有効だと思います。
お返しのやり取り
返報性の原理は、相手から何かをしてもらったらそれを返さなければならないと思う心理的効果です。
実験では、男女2人組に交互に相手へ質問させます。お互いに自己開示をさせたのです。個人的な情報を知ることによって、45分足らずで2人は恋をさせてしまうほどに、仲良くなりました。また、結婚にいたったペアもいたそうです。この自己開示のやり取り中は「一緒に活動」しています。これがまとまりの強力な力です。
説得を永続化させる
説得を永続化させるにはどうすればよいのでしょうか?それは、その人が自発的に行動するように仕組むことです。診療の前日に患者に電話をして、予約を念押ししたところすっぽかしが3.5%減りました。つまりは、「一貫性」と「コミットメント」です。
自ら「私はこうします」と言うだけで、「あんなこと言っちゃったしなぁ」と思い、自分の発言に責任をとろうとするのです。
というわけで、普通ならここからまとめですが、まとめを読みたい方はページトップへ。