脳を蘇らせる5つの要素とは? THE BRAIN BIBLE (ブレイン・バイブル)ジョン・アーデン著
脳を健康に保つための本「ブレイン・バイブル」。私はこの本をすごく読んでみたいと思っていました。
しかし、この本は新品で売っているところが少なく手に入れるのに苦労しました。
そして、読んでみると脳を明晰に保つためのエビデンスもしっかり載っており、非常にためになりました。
今回は「ブレイン・バイブル」を読んだまとめと感想を記事にします。
健康な脳をつくる5つの要素
脳を健康に保つためには5つの要素が必要である。それは、教育、食生活、運動、社会的、睡眠である。
この5つの要素を意識的に改善することで、脳細胞を増やし、脳を明晰にしてくれる。
次から5つの要素をそれぞれ解説していく。
教育の要素
教育の要素は脳へのチャレンジをしていき、知的能力を開拓することで、「認知予備力」と呼ばれるものを活性化する。すると、脳のシナプス結合が増え、脳の寿命が伸びる。
認知予備力とは、知能を高める努力をした結果、成長して強化されたシナプス結合のシステムを濃密に高めることである。
認知予備力があれば、年齢を重ねても、脳を明晰に保つことができる。
自分があまり知らない、好きではないものを理解しようとしたり、探求したりすることで、認知予備力を高めることができる。
受動的な活動では認知力を失う。例えば、テレビを見ているときである。てれびを見ているときは「死んでいる時間」と呼ばれ、頭がほとんど働いていない。
つまり、態動的に学ぶことが重要だということ。例えば、外国語を学ぶとか、楽器の演奏を覚える、本を読む、自分が知らない分野の知識を学ぶといったことだ。
このように新しいことや自分がやりたくないことを意識的にやることによって、1000億のニューロンは新しい繋がりを始め、脳の健康を高めることができる。
食生活の要素
次の要素は食生活である。
朝食を抜くと、ストレスを感じやすくなる。アドレナリンやコルチゾールというストレスホルモン値が高まる。この2つが高くなると、1日中緊張と不安を感じるようになる。
糖分は脳に良いとされるが、糖分の過剰摂取は明晰な思考、ポジティブな気分の維持、社会的にふさわしい態度で行動することを阻害するのである。そして、脳にダメージを与え、うつや不安のレベルを高める。
良い脂肪をとることも脳にとっては大切である。オメガ3とオメガ6のバランスがオメガ6に偏ってしまうことが脳に悪い。
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の摂取によって、ニューロン間の相互作用が阻害され、明晰な思考ができなくなる。
オメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)は脳の血流を良くし、炎症や血液の凝固や血管の活動に影響するエイコサノイドの流れを良くする。
オメガ3には、「脳由来神経栄養因子(BDNF)」を高める働きがある。脳由来神経栄養因子は、ニューロン新生と神経可塑性に重要な役割を果たし、脳細胞の栄養剤となる。
トランス脂肪酸は、不飽和植物性脂肪が長時間加熱されることでできる。鍋で揚げ物を作るときがそうである。
トランス脂肪酸はポテチやマヨネーズ、ドーナツ、ショートニング、マーガリン、キャンディーなどに含まれる。
トランス脂肪酸は直接神経細胞に吸収されて、細胞を硬くし、脳細胞の通常の機能を阻害する場合がある。
トランス脂肪酸を摂ることに何も良いことはない。
食生活のガイドラインとしては以下の通り。
- バランスのとれた自然食品を摂取する。
- 脂肪のバランスをとり、トランス脂肪酸は避ける。
- 適切な水分量を摂る。
- 週に2、3回は魚を食べる。
- 揚げ物は避ける。
- 過度に加工された食品は避ける
など。
運動の要素
続いて、運動の要素である。
運動だけでも効果的な抗うつ剤になる。週に3回30分の運動をすれば、抗うつ剤と同じくらいの効果があることが分かっている。
また、運動は抗不安剤としても高い効果がある。
就寝時間の3〜6時間前に運動をすれば、
質の良い睡眠をとることができる。
運動を継続するのは難しいと思われがちだが、自分のやりたくないことを何度もすることで神経可塑性が刺激される。第1歩を踏み出すことが、第2歩目を楽にする。
脳はブドウ糖に加えて酸素も必要だ。
酸素の供給が何らかの形でブロックされると、ニューロンが損傷を受けて、死んでしまうことがある。
ニューロン新生の活性化に関わる大きな要素が、「有酸素運動」だ。
有酸素運動によって、脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質が放出される。
ミラクル・グローと呼ばれるものだ。
BDNFは、ニューロン間の繋がりを強化したり、新しいニューロンに成長させる働きがある。
しかし、運動だけではニューロン新生は維持できない。
ニューロンを生み維持するには、肉体の運動に加えて、頭の運動も必要なのである。
有酸素運動として、ウォーキングをした後に知的活動をすれば、ニューロン新生が起き、維持できるだろう。
社会的要素
社会的要素は、人と積極的に関わっていくことだ。孤独はテロメアの断裂を引き起こす。テロメアが短くなると、老化が加速する。
オキシトシンは抱擁ホルモンと呼ばれ、親密な関係、特に接触によって活性化する。オキシトシンはパートナーから20秒ハグされると放出される。オキシトシンを投与された男性は人の写真を見ただけでその感情を読みとる能力が向上した。
辛い1日の後にハグされるとオキシトシンが大量に分泌され、迷走神経をはじめとする副交感神経が活性化され、心拍数を下げ、リラックスさせて安心感を与えてくれる。
他の人の笑顔を見るだけで、ニューロンの活動により、ポジティブな感情がもたらされる。以下のように笑いには様々な効果がある。
- 認知機能の向上
- 筋肉の運動と弛緩
- 心拍数と血圧の改善
- コルチゾール(ストレスホルモン)値の減少
- 長寿の促進
社会的要素としての行動は、積極的に人と関わっていくことが脳の活性化を促進する。イベントに参加したり、人と話すだけでも効果はある。
決して孤独になってはいけない。
睡眠の要素
最後に睡眠である。
睡眠時間は平均7時間が最適とされている。もちろん、それ以下でも大丈夫な人もいるし、長時間眠る人もいる。しかし、研究によって睡眠時間が短すぎても長すぎても死亡率を高め、心臓発作や脳卒中などの発症率を高めることがわかっている。
6時間の睡眠は生物学的に必要最低限のものとされているおり、「コア睡眠」と呼ばれる。
睡眠呼吸障害がある人の認知機能障害や認知症のリスクは、正常な人の2倍あるという。
睡眠パターンとサーカディアンリズムは昼の光の長さで決まる。また、食事、仕事、社会的接触、運動も睡眠に関係している。
光が目に入ると、網膜が松果腺に昼だという信号を送る。松果腺は光に反応して、睡眠ホルモンのメラトニンの放出を抑えて、今は寝る時間ではないと指示を出す。暗くなると網膜が松果腺に、夜で寝る時間だという信号を送る。すると、メラトニンを放出して鎮静状態にしてくれる。
ストレスホルモンのコルチゾールは1日に約10回分泌され、1番多く分泌されるのが午前4時〜正午。この時間帯に目覚めて外出し、日中の活動をするのが最適である。
夜の睡眠の質を高めるようにする方法の1として、尿の生成を減らすこと。つまり、夜眠る前は多量に水分を摂取しないようにする。
また、体温も関係しており、夜は体温が下がるべきなので、就寝の3〜6時間前に運動をすれば、夜に体温を下げられる。
1晩睡眠不足になるだけで、記憶維持を悪化させる。何かを学んでから24時間以上経ってからの記憶向上には6時間以上の睡眠が必要である。
アルコールを摂取すると眠りやすくなる。しかし、2〜3時間経つとアルコールの鎮静効果が消えるため、睡眠サイクルに戻るのに1〜2時間かかってしまう。アルコールは1番深い睡眠とレム睡眠を減らす。ぐっすり眠れるのは始めだけで、翌朝は疲れが残っていることがあるのだ。
実はタンパク質を多く含んだ食品は眠くなりにくい。夜はタンパク質の多い食事は避けるべきだ。
健康的な睡眠パターンを得るためには、
- ベッドでは睡眠(性行為)以外のことはしない。
- 眠ろうと必死にならない。
- 夜に大量の水分はとらない。トイレに行くために目が覚めるためである。
- 就寝時間の数時間前は明るい光を避ける。
- 夜はタンパク質の含まれた食品は食べない。タンパク質はセロトニンの合成を阻害し、覚醒を起こす。
- 就寝時間の3〜6時間前に運動をする。
- 就寝時間の5時間はアルコールを避ける。
- 体温を低く保つ。
まとめと感想
5つの要素は教育、食生活、運動、社会的要素、睡眠がある。
- 教育の要素として、毎日何か新しいことを学んでみる。
- 食生活は毎日の栄誉摂取を意識する。
- 運動は肉体的な活動をする。
- 社会活動は外に出て人と話す。
- 睡眠は毎日の睡眠を記録する。
これらを意識的に行って改善していこう。
また、もっと知りたい方は本書を読んでみることをおすすめする。
かなり有益な本であることは間違いないと思う。
私もこの本から、すべての要素を学んで脳を明晰にするため、日々取り組んでいきたい。
この本を読めば、脳を蘇らせるきっかけとなるだろう。