スタンフォード式最高の睡眠 西野精治
黄金の90分で最高の睡眠を得る。
今回は「スタンフォード式最高の睡眠」という本を読んでみました。
なぜかというと、最近書店で売れ筋やら人気やらのランキングで1位になっているところが多いからです。(2017年10月現在)
何しろ目につく。だから、買ってみました。
私も睡眠は重要視しているところがあり、睡眠本で気になるものは、買って読んでいます。
買う前はどんな本だろうと、目次を見て、内容を確認します。
今回の本は世界最高の睡眠研究機関と呼ばれるスタンフォード大学睡眠研究所にいた著者が書いた本になります。
それでは、内容を紹介していきます。
黄金の90分
最高の睡眠とは、脳、体、精神を最高のコンディションに整える、究極的に質が高まった睡眠。
睡眠の質のカギは、「90分の黄金法則」、眠り始めの90分で決まる。
この始めの90分さえ質が良ければ、全体として良質な睡眠になる。
最近では、短時間睡眠などと言う本が出回っているが、短時間睡眠は遺伝であることも本書に書かれている。
また、100万人規模の調査では、アメリカ人の平均的な睡眠時間は7.5時間。6年後、同じ100万人を追跡調査したところ、死亡率が1番低かったのは平均値7時間眠っている人たち。それより、短時間睡眠だろうが、長時間睡眠だろうが、「6年後の死亡率が1.3倍高い」という結果が出ている。
よく寝だめをして、睡眠の負債を返そうとしている人がいるが、週末の寝だめでは負債は返せない。
良い睡眠がなければ良い覚醒はなく、良い覚醒によって良い睡眠も得られる。
人は最低でも6時間以上眠るのがベストであることも述べられている。
脱線したが、眠り始めの90分とはどういうことなのか。
人間は眠り始めるとまず、ノンレム睡眠に入る。
この最初の90分間のノンレム睡眠が睡眠全体で最も深い眠りなのである。
つまり、最初の90分をいかに深くするか。
それには2つのスイッチが必要である。
2つのスイッチ
そのスイッチとは「体温」と「脳」。
体温
まず、体温であるが、質のいい睡眠には体温の低下が欠かせない。
人間の体温は覚醒時の体温(深部体温)のほうが高い。睡眠中は体温(深部体温)が下がり、臓器などの回復をしているとき。
深部体温は日中高く、夜間は低い。
その逆で、皮膚温度(手や足)は昼に低く、夜に高い。
覚醒時の深部体温は皮膚温度より2℃程度高い。また、入眠前に手足が暖かくなる。手足から熱を放散し、深部体温を下げている。
スムーズな入眠には、この深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが重要だ。
眠っているときは深部体温が下がり、皮膚温度は上がっている。
このことは覚えておきたい。
この事実は、雪山での遭難時に眠くなるのと同じ原理だ。
それでは、皮膚温度と深部体温を縮めるためにはどうすればいいのか。
それは、就寝90分前に入浴をすること。
入浴によって、皮膚温度は0.8〜1.2℃程上がる。
深部体温は40℃のお湯に15分使った場合、およそ0.5℃上がるという。
この深部体温は上がった分だけ、大きく下がる。
よって、睡眠前には深部体温と皮膚温度の差が縮まり、質の良い睡眠へとつながるのである。
また、足湯も足の血行が良くなり、入浴と同等の効果があることもわかっている。
脳
続いては脳のスイッチ。
眠る前のスマホはやはり良くない。ブルーライトがメラトニンの生成を抑制するからだ。
眠る90分前にはスマホは断っておきたい。
「モノトナス」の法則は単調な状態になることで、「退屈」を引き起こし、眠りを誘う。
よく、お昼を食べて、午後に単純な作業をしていたら眠くなったことがある人も多いだろう。
眠る前の娯楽は頭を使わない、音楽や落語といったものがいいだろう。
間違っても犯人を推理してはならない。
ミステリーが好きならしょうがない。
ひつじを数えるときも「ひつじが1匹、2匹」と数えるのではなく、シープシープシープと英語で言うのが効果的である。
覚醒戦略
最高の睡眠は覚醒のときから始まる。
睡眠レベルを高める覚醒戦略としては、
- アラームは「2つの時間」でセットする
レム睡眠のときに起きれば、すっきり起きられる。朝方はレム睡眠が長くなっているので、20分前後の間隔で、ノンレム→レムと切り替わる。
このタイミングを狙い、1回目のアラームは微音で短くセットする。
7時に起きたいのなら、6時40分から7時までの20分を起床のウィンドウとして、2回目のアラームは7時にセット。
つまり、1回目で起きれなければ、ノンレム睡眠の最中で、2回目で起きることができる。
- 光を浴びる
ベットから出たら、朝の光を浴びよう。体内時計がリセットされ、睡眠物質のメラトニンに変わるセロトニンも分泌される。
- 朝起きたら裸足
床に直に触れることで皮膚体温を下げ、深部体温と皮膚温度の差を広げることができ、覚醒につながる。
- 手を冷たい水で洗う
手を冷たい水につけることで、深部体温と皮膚温度の差を少しでも広げるのである。
そして朝は風呂に浸からず、シャワーを浴びる。風呂に浸かると深部体温が上がり、再び大きく下がるので眠くなるからだ。
- よく噛む
朝食をしっかり食べよう。朝食には体温を下げ、1日の活動を始めるためのエネルギーを補給する役割がある。
また、噛むことによって、脳にも刺激が伝わり、これも覚醒につながる。
- コーヒーを飲む
2015年の欧州食品安全機関で、400mg、コーヒー5杯は許容範囲とされている。
コーヒーのカフェインは覚醒作用があるので、眠気や疲れ、睡眠圧にも対抗する。食後や午後に効果を発揮してくれるのだ。
しかしながら、眠る前の摂取は避けたい。就寝1時間前と3時間前にコーヒーを1杯ずつ飲むと、10分ほど寝付くまでの時間が長くなり、30分程度睡眠時間が短くなる。
まとめと感想
- 入眠後90分を深い眠りにすると、質の良い睡眠がとれる。
- 入眠前90分に入浴をして、眠りを誘う。
- 眠る前、スマホは排除し、頭を使わない娯楽をする。
- 覚醒戦略として、冷たい水で手を洗う、光を浴びる、裸足になる、コーヒーを飲むなど。
しっかりエビデンスも記述されていて、非常に説得力のある内容であった。
しかし、実際に実行できる快眠戦略は本全体のなかからは3割程度といったところで、おとはエビデンスに基づく知識といった印象が強かった。
実際に良い睡眠を摂りたい人は、読むべき部分(現実に使える知識)を抜き出して、読めばいいと思う。あまり知識が多すぎると、頭の整理がつかなくなるし、実行に移すことも遅れるだろう。