説得の技法【SPICEの法則】~あらゆる相手を瞬時に説得する~
人を説得するには5つの要素が必要です。つまり、SPICEの法則。
SPICEとは、
単純性(Simplicity)、私的利益感(Perceived self-interest)、意外性(Incongruity)、自信(Confidence)、共感(Empathy)の5つの頭文字をとったものです。
これは友人や恋人、仕事相手、ナンパをするときなどすべての人間を説得するときに最も効果がある説得の方法です。相手の脳内に入り込むようなイメージで相手を瞬時に説得してしまいます。もちろん使わないと効果はありません。以下、5つの要素について解説します。
単純性(Simplicity)
つまり、どのように言うか。言う言葉が単純なほど効果が上がります。
人は単純であればあるほど好み、脳にスムーズに入ってきます。逆に複雑だとそれを拒んでしまいます。韻を踏むことについての話があり、実際に韻を踏んだ格言のほうが踏んでいない方よりも的確な内容と受け取られました。
「用心と節度(メジャー)が富(トレジャー)をもたらす」
「用心と節度(メジャー)があなたを金持ち(リッチズ)にする」
上の方が韻を踏んでいて、内容が入ってきやすいですよね?
シンプルに言うことが一番伝わりやすいことが最近は企業などで広告などで利用されていますね。
まずはこれが1つ目の要素です。
私的利益感(Perceived self-interest)
つまり、相手の利益になることを提示するということです。
あるバンドがコンサートをしていたときに機器の故障で中止になりました。
ボーカルはファンに全額返金することを約束しました。損失は約1億4千万。彼らはどうしたか?約束を守って支払いました。しかし、ひとひねりがしてありました。個別に送られた小切手はバンドのメンバーが個人的にサインしたもので、バンドの結成した場所の実在しない銀行のものでした。
「現金化することはできます。しかし、珍しい小切手ですから、かなりの人がそのまま持っていると思いますよ」
相手の利益に訴えること。もっと言えば相手が自分の利益に気づくことです。
馬にうまく乗るコツは何でしょう?
それは馬の行く方向へ行かせることです。
意外性(Incongruity)
意外性には2つの要素があります。それは笑いと注意をそらすことです。
下の中からカードを1枚選んでください。それを5秒間見つめて、頭の中でイメージしましょう。そうしたら、この画像を隠してください。いいですか?
そうしたら、この記事の一番下までいってカードの画像を見てください。
これは単純な手品です。画像をよく見ればわかります。
認知心理学の「外因性の注意の捕捉」と呼ばれ、一つのものに注意を向けさせることによって、他のものに注意を向けさせないことです。
説得において、意外性が効果をあげる理由は手品で意外性を隠す理由と同じです。
つまり、大きなものが小さなものを隠すということです。
では次に下の画像を見てください。四角の中に文字がある場所(右、左、上、下)を頭の中で言っていってください。左の四角から順番にです。
次に下の画像を同じように文字のある場所を答えていってください。
1番目の画像より2番目は難しかったですか?
これはストループ効果と呼ばれるものです。2つの矛盾する衝動、「文字を読もうとする気持ち」対「自然に生まれる気持ちを無効にして位置を答えさせる悪魔のような指示」によって引き起こされる錯乱作用です。
しかし、こういった錯乱は現実でも起こっています。
受け手を一時的に、ほんの一瞬思考停止状態に追い込み、その間に誘いをかけるような言葉を浴びせます。「このケーキは1994円です!」「おいしいですよ!」
なぜ1994円?そう考えている間に「おいしいですよ!」が瞬時に脳内に入り込みます。
自信(Confidence)
4番目は自信。そのまんまです。自信がなければ、その人の話に誰が耳を傾けるだろうか。ハロー効果という心理学用語があります。これは例えば、相手がすごい高そうな腕時計をつけていたら、その人をお金持ちだと思ってしまいます。このようにある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引かれてその他の評価が決まってしまうことをいいます。つまり、自信があるように見せるだけで、相手から説得力のある人だと思われ、信頼を確立するのです。また、相手にも自信を与えることも重要です。
共感(Empathy)
最後に共感です。ロンドンの地下の駅で信号機が故障して5分ほど停車しました。車内は満員で乗客は落ち着かない雰囲気。そんな中、ある1人の男性がタバコを取り出して火をつけ始めました。前に火災があったので全面的に禁煙になっていました。車内は不愉快そうな中、スーツ姿の男がタバコの男に言いました。「ちょっと火を貸していただけません?」これで堪忍袋の緒が切れ、乗客の1人が「あんたがた禁煙だってのは知ってるだろう?」。スーツ姿の男は「悪かった、気づかなかったんだ」。そして、タバコの男に言いました。「これは消した方がよさそうだね」
つまり、違反者が1人ではなく、2人になったためタバコの男は共感をさせられたのです。
メッセージの衝撃が最大になるために、2つできることがあります。
1つ目は相手との間の距離を詰める、つまり類似性を増すことです。
2つ目は言い方をより個性的なものにすること、つまり特徴を増すことです。
まとめ
利他的行動の1番大きな予測因子の1つは、現在の気分の状態、そのときあなたがどういう気持ちでいるかです。気分がよければ相手にも伝染します。悪いと説得は最悪なものになります。悲しそうな顔の人よりも笑顔で楽しそうな人のほうが説得しやすいということです。ナンパするときもユーモアがいかに大事かということですね。
説得の技法は5つに分かれていることを説明しました。
単純性、私的利益感、意外性、自信、共感です。
5つの中でも特に重要なのが「意外性」です。
意外性は私たちの脳を自動的に暗示にかかりやすい状態にします。この間は私たちは情報を意識的に処理することなく、取り込んでしまいます。このときこそ、説得を試みる相手のいいなりになりやすい時なのです。
相手を説得させたいなら、ユーモアによって笑いを起こしながら注意をそらし(意外性)、この間にシンプル(単純性)に伝えたいことを言い、相手の利益になることも提示し(私的利益感)、自信たっぷりに(自信)、まるで相手が親友と話しているかのように共感を持たせましょう(共感)。
以上が説得の技法です。
見てくれた方は本当に説得できるの?と思うでしょうが、大丈夫です。ぜひナンパでもして試してみてください。必ずあなたは説得のプロになれますよ。ぜひ、ブックマークを。
これがSPICEです(笑)
あなたの選んだカードはありましたか?なかったでしょう?では、続きに戻りましょう。